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FAQ(よくある質問)

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よくある質問

 

Q.養親の婚姻費用と前夫からの養育費の関係は?

養子縁組と婚姻費用についての裁判例です。
大阪高裁平成30年10月11日決定です。

養子縁組が絡んだときに、婚姻費用はどのようになるのか争われました。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30

事案

結婚した夫婦、妻には連れ子がいて、養子縁組をしました。
その後、妻子が別居。
妻から夫(養親)に対して、婚姻費用の請求がされました。

 

一方で妻と前夫との間では、離婚時に公正証書により養育費の取り決めがされており、妻の再婚後も、そのまま養育費の支払いがされていました。
今回、夫婦間の婚姻費用を決める際に、この前夫から払われている養育費をどう考慮するかが争われたものです。

 

婚姻費用と養子縁組の基本的考え

婚姻費用は、結婚期間中の夫婦について、収入が少ない側が多い側に生活費等の負担を求めるものです。
ここには配偶者の生活費以外に、子の生活費も含みます。
養育費は子に対するものだけです。そのため、養育費より婚姻費用の方が金額は高くなります。


通常、離婚した子が養子縁組をした場合、一次的には養親が扶養義務を負います


そのため、離婚した前夫が養育費の減額調停等を起こせば、減額になったものと思われます。ただ、そのような動きはなかったという事例です。

 

裁判所の判断

大阪高裁の判断は、このような場合、婚姻費用中の子の費用に関する部分については、前夫の養育費によって負担されているから、減額すべきと判断しました。

具体的には、今回の収入によると、
妻子2人分の婚姻費用が、該当期間で720万円。
配偶者のみの婚姻費用だと480万円。


この差額は240万円あるが、前夫の養育費によって支払われていると認定。
480万円から支払済みの婚姻費用を控除した140万円が未払いの婚姻費用であるとして、この差額のみ支払い義務を認めています。

「もっとも,相手方は,前記説示のとおり,平成28年10月から平成30年12月分までの養育費として,前夫から378万円(14万円×27か月)を受領している。そうすると,前記試算に係る未払婚姻費用分担金720万円(長女の生活費を含むもの)から,長女の生活費を含まない未払婚姻費用分担金480万円(以下に説示のとおり。)の差額である240万円の限度においては,前夫の上記養育費支払によって要扶養状態が解消されたものとして,未払婚姻費用分担金720万円から控除するのが相当である。その結果,平成28年10月から平成30年9月までの未払婚姻費用分担金の額は480万円となる。
      すなわち,前記認定の当事者双方の収入を前提として,標準的算定方式の表10(婚姻費用・夫婦のみの表)によって,長女が相手方と同居していない場合の婚姻費用について検討すると,平成28年10月から平成30年1月までの婚姻費用分担金については月額22万(22~24万円の範囲内),平成30年2月以降の婚姻費用分担金については前記説示(原審判の第3,3(5)を補正)のとおり月額16万円と試算できる。したがって,長女の生活費を含めずに,平成28年10月から平成30年9月までの未払婚姻費用分担金の額を算定すれば480万円となる(22万円×16か月+16万円×8か月)。
   4 以上によれば,抗告人は,相手方に対し,平成28年10月から平成30年9月までの婚姻費用分担金合計480万円から既払金339万6554円を控除した140万3446円については即時に,当事者の別居解消又は離婚に至るまでの間,平成30年10月から平成32年3月までは月額26万円,平成32年4月以降は月額16万円を,毎月末日限り支払う義務がある。」

 

養親で婚姻費用を求められている場合には、実の親からの養育費の支払いがないかチェックしておいた方が良いということになりますね。

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