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FAQ(よくある質問)

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よくある質問

 

Q.同性カップルの不貞慰謝料は?

結婚している夫婦が、婚姻外の異性と関係を持つと、違法行為となり配偶者に不貞慰謝料を支払う義務があります。

では、結婚している異性間の夫婦ではなく、同性カップルだった場合にはどうなるのでしょうか。

同性カップルの不貞慰謝料の問題については、多くの裁判所で争われています。

今回は、高裁レベルでの判決を紹介します。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30

東京高等裁判所令和2年3月4日判決

同性カップルと不貞慰謝料についての裁判例の紹介です。

東京高裁令和2年3月4日判決になります。

 

動画での解説はこちら


事案の概要

女性同士の同性カップルがいました。

片方のパートナーが、他の男性と不貞関係になったということで、パートナー間の関係が破たんしてしまいます。

そこで、不貞をされた側の30代の女性が、パートナーに対して慰謝料を請求したという事案です。

一審の宇都宮地裁真岡支部では約110万円の慰謝料等を認めています。

これに対して、被告女性が控訴。

東京高裁に持ち込まれたという内容です。

 

東京高等裁判所の判断

控訴棄却。

一審と同じく慰謝料の請求を認めました。

東京高裁での認定ということで話題になっています。

判決理由では、2人の同居期間が7年に及んでいたこと、米国で結婚証明書を取得していたこと、結婚式を挙げたりしていたこと、精子提供で子を持つ準備、マンション購入計画を進めていたことなどが取り上げられています。

時系列としては、

2010年に同居、
2014年にアメリカで結婚式、
2015年には、国内で結婚式を挙げ、披露宴も、
2017年に元パートナー女性と第三者の男性の不貞行為が発覚、パートナー関係が破綻

となっています。

ここから、2人の関係は、単なる同居ではなく、男女の婚姻に準ずる関係にあったと認定しています。

被告女性は2人の関係について、法の定めがない単なるカップルと主張していましたが、こちらは否定。同性同士でも貞操義務を負うことは許容されるとしています。

2人の関係については、単なる同居ではなく、同性同士であるために法律上の婚姻の届出はできないものの、できる限り社会観念上、夫婦と同様であると認められる関係を形成しようとしていたものであり、男女が協力して夫婦としての生活を営む結合としての婚姻に準ずる関係にあったということができる。

 

同性カップルに対する社会情勢は?

当事者の固有の事情以外に、現在の社会情勢についても触れられており、この点からも、婚姻に準ずる保護が認められるべきとしています。

世界的にみれば、令和元年5月時点において、同性同士のカップルにつき、同性婚を認める国・地域が25を超えているとのことです。

また、登録パートナーシップなどの関係を公的に認証する制度を採用する国・地域は世界中の約20%にのぼっている点も取り上げています。

さらに、日本国内でも、このようなパートナシップ制度を採用する地方自治体が現れてきている点も指摘。

このような社会情勢を併せて考慮すれば、同性同士であるということだけで法律上、保護される利益があることは否定できないとしています。

 

事実婚と不貞慰謝料の関係は?

不貞関係と事実婚について整理してみましょう。

まず、男性と女性の異性の結婚をしているような夫婦の場合。

夫婦の片方が婚姻外の異性と不貞関係になった場合には慰謝料の請求は可能です。

これが大前提。

 

次に、異性間の内縁関係、事実婚関係の場合。

結婚という戸籍に届け出をしてなかったと、戸籍に反映されていないものの、実態は夫婦であるという場合です。

このような事実婚では、結婚はしていないものの、実質は結婚と同じような関係であるということで、結婚に準じた保護が必要とされます。

そのため、このような場合でも、不貞行為によって内縁関係が破綻した場合には、不貞慰謝料の請求が認められます。

この場合、内縁関係と認定されるかどうかがポイントになります。

夫婦と同じような実態、保護に値する実態があるかどうかという点が争われやすいです。

 

これに対して、内縁関係のような話ではなくて、通常の男女交際、付き合ってるだけ、というようなケースで、他の異性を関係を持った、浮気をしたというケースでは、原則として慰謝料請求は認められません。

法的に保護するまでのものではないとされているわけです。

これが、婚姻予約、婚約となってくると、少しずつ保護されていきます。

 

同性カップルで不貞慰謝料が認められるケースは?

今回、問題になっているのは、同性カップルのなかで、事実婚という段階のケースです。

実質は、戸籍上の夫婦に近いとされたケースです。

判決の中では、同性カップルの関係を、夫婦のようなものとして保護しなければならないとしているわけです。

異性カップルと同様、同性カップルでも、単なる交際関係であるという段階では、浮気したからといって慰謝料は発生しないことになります。

事実婚状態という段階になっていたからこそ保護されているわけです。

要は、同性でも異性でも同じように扱おうという判断であり、異性カップルだからどうこう、という問題ではありません。

 

事実婚で不貞慰謝料が認められるポイントは?

異性カップルでもそうですが、事実婚や内縁関係で不貞慰謝料を認めてもらうには、実質的には戸籍上の夫婦と変わらないのだという点を主張・立証していく必要があるのです。

今回の判決で、

アメリカで結婚式を挙げている

アメリカの婚姻登録証明書

日本でも披露宴

子供の準備、マンションの準備

同居期間が7年

などの事情を取り上げているのは、普通の男女交際の付き合いではない、事実婚に近い、結婚に近いという認定をするためです。

 

この判決に限らず、事実婚が結婚と同様の保護をされるべきである段階にあるかどうかの判断要素とされる点としては、

・2人の合意内容

・家族、親族等との関係

・共同生活の有無

・結婚式を挙げているか

・交際期間は長いか

・生活費の分担などの家計状況

・子供がいるか、子供との関係

などが重要とされます。

 

 

 

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