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FAQ(よくある質問)

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よくある質問

 

Q.離婚訴訟で相手が欠席した場合の判決は?

離婚訴訟で、相手が欠席、答弁書も出さない場合に、調書判決ができるのか争われた東京高等裁判所平成30年2月28日判決を紹介します。

通常の民事訴訟とは異なり、離婚訴訟では、このような場合でも、自白したものとはみなされません。しかし、判決の形式として調書判決ができるのか問題にされました。

 

事案の概要

妻が夫に対し、離婚と離婚慰謝料の支払を求めて訴訟提起。

夫は、呼出しを受けながら、第1回口頭弁論期日に出頭しませんでした。

また、答弁書もを提出しませんでした。

そこで、妻から提出された証拠だけ取り調べて弁論を終結。

妻の請求をいずれも認める判決を出しました。

いわゆる調書判決です。控訴期間も経過。

妻は、離婚の届け出。

 

その後、妻は、慰謝料支払について、債権差押えを申立。

裁判所で、債権差押命令が出されました。

 

夫が不服として執行抗告。

抗告審では、この離婚判決は、許される場合でないのに判決書の原本に基づかないで言渡しを行ったものとして、債権差押命令は有効な債務名義を欠いた暇疵があるものとして、差押命令を取り消し、申立てを却下。

 

この判断により、妻が、離婚判決を言い渡した原審に対し、改めて判決書の原本に基づく判決の言渡しを求めて、判決言渡期日の指定の申立て。

しかし、原審は、判決書の原本に基づかないで本件判決が言い渡された点に違法はないとして、本件訴訟は本件判決の確定により終了したものであるとして訴訟終了宣言判決。


妻が不服として控訴をしたという経緯です。

妻としては、差押ができず、原審でも否定され、控訴するしかなかったといえるでしょう。

 

裁判所の判断

原判決を取り消し、差し戻し。

争点となった、人事訴訟への民事訴訟法254条1項1号の適用の有無が問題になります。

人事訴訟法19条1項は、人事訴訟の訴訟手続において適用されない民訴法の規定を掲げながら、同法254条1項1号を掲げておらず、その他人事訴訟法上民訴法254条1項1号が適用されないものとする定めはなく、一方、同号が文言上は「自白が成立すること」を要件とはしていないことからすれば、文理上は、同号が人事訴訟の訴訟手続において適用されると解する余地もないわけではないと形式的な点を確認。

しかしながら、民訴法254条1項1号は、請求原因事実について自白又は擬制自白が成立する場合であって何らの抗弁事実の主張もないとき、すなわち、①被告が口頭弁論に出頭し、請求原因事実を自白し、又は明らかに争わないために自白したものとみなされる場合(同法159条1項)であって、何らの抗弁事実を主張しないとき、②被告が口頭弁論に出頭しないが、提出した準備書面等に記載された事項が陳述したものと擬制され(同法158条)、当該記載において、請求原因事実を自白し、又は明らかに争っていない場合であって、何らの抗弁事実を主張していないとき、③被告が公示送達以外の方法により呼出しを受けた場合であって、口頭弁論に出頭せず、準備書面等の擬制陳述もされない結果、請求原因事実を自白したものとみなされるとき(同法159条3項および1項)を指すことを前提としているものと解され、人事訴訟法19条1項が、民訴法179条の規定中裁判所において当事者が自白した事実に関する部分や同法159条1項(自白の擬制)は適用しないとしている以上、人事訴訟の訴訟手続において同法254条1項1号が適用されることはないというべきであるとしました。

 

調書判決と裁判上の自白制度の歴史

判決では、過去の裁判上の自白制度について確認しています。


民訴法が制定された平成8年当時、人事訴訟手続法10条並びにこれを準用する同法26条及び32条1項は、現在の人事訴訟法19条1項と同様に、婚姻事件等の人事訴訟に適用されない旧民事訴訟法(明治23年法律第29号)の規定等を列挙し、裁判上の自白に関する法則や自白の擬制に関する規定等が適用されない旨を定めていました。

そして、改正民訴法でいわゆる調書判決の制度を新たに導入するに当たって、同法254条1項1号の規定する場合がどのようなものと考えられていたのか、そして、人事訴訟手続法10条等で適用除外とするものとされる規定の中に民訴法254条1項1号を加えるべきか否かについてどのような検討がされたのかを確認していきます。

まず、法務省民事局が民訴法制定前に公表した「民事訴訟手続に関する改正要綱試案補足説明」。

ここでは、調書判決の制度は、同項2号の場合のほか、(ア)被告が口頭弁論に出頭せず、請求原因事実について自白が成立した場合及び(イ)被告が請求原因事実を自白して抗弁事実を主張しない場合を想定しており、上記以外の場合を想定していた形跡がありませんでした。

同項1号は手形訴訟に関する旧民訴法448条(現行民訴法354条)と同一の文言を用いているところ、同条の解釈としても、裁判上の自白または擬制自白が成立する場合であることを要すると解されていたことが認められ、民訴法254条1項1号もこれと同一の文言を用いることによって自白又は擬制自白が成立する場合を規定しようとしたものとみられました。

さらに、民訴法制定後に公にされた事情ではあるが、同号が同法252条の例外として設けられたのは、法律上の自白が成立しているということを前提にして他の事実を認定する余地がないことを理由としていることに照らすと、人事訴訟には自白法則等の適用がなかった(人事訴訟手続法10条等)から、民訴法254条1項1号が適用される余地がないと考えられていたことが認められるました。


このような検討の下に、民訴法の制定に伴って、人事訴訟手続法の一部改正がされ、同法10条等により適用除外とされる規定も新たな民訴法の条文に書き改められたが、同法10条等に民訴法254条1項1号が適用除外規定として加えられることはなかったものであり、それを引き継いで、人事訴訟法19条1項も同様の定め方をしているものであることに照らせば、同項が民訴法254条1項1号を適用除外規定として掲げていないことや同号が文言上は「自白が成立すること」を要件とはしていないことを理由として、直ちに人事訴訟の訴訟手続に同号が適用されると解することはできないとしました。

 

民事訴訟の自白との比較


民事訴訟において、請求原因事実について自白は成立しないものの、被告が実質的にはこれを積極的に争っておらず(例えば、請求原因事実に対して被告が「不知」としか述べない場合)、抗弁事実を主張していないため、証拠及び弁論の全趣旨によって容易に請求原因事実が認められて、請求が認容される事案はああります。

この場合には民訴法254条1項1号は適用されない一方、人事訴訟においては、被告が請求原因事実を争わず、抗弁事実を主張しない場合に、自白法則の適用がないため、証拠及び弁論の全趣旨によって請求原因事実が認められて請求が認容されることもあり得るところです。

上記の前者の場合に同号が適用されないものとされたのは、「請求原因事実について自白が成立して事実関係に関する限りこれと異なる認定をすることができない場合」ではないためであると解さざるを得ないところ、人事訴訟においては、やはりそのような場合ではない上記の後者の場合に同号が適用されると解釈すべき特段の事情があるとは認められません。


また、人事訴訟においては、上記の後者の場合であっても、自白法則の適用がない以上、証拠及び弁論の全趣旨によって請求原因事実を認定せざるを得ないところ、そのような認定を「理由」として摘示して判決書を作成することがそれほど負担であるとはいえないことや、人事訴訟の判決が身分関係に影響を及ぼし、確定すると対世的効力を生ずる(人事訴訟法24条1項)ことを考慮すると、立法当時の認識にかかわらず、あえて人事訴訟に民訴法254条1項1号を適用すべきものと解する必要性が高いともいえないとしています。


このような点からも、自白法則等が適用されない人事訴訟の訴訟手続には同号が適用される余地はないものと解するのが相当とされました。

 

 

離婚部分と慰謝料部分の切り離し?

本件判決の主文は、訴訟費用の負担を命ずる部分を除くと、①離婚請求を認容する部分と②慰謝料請求を認容する部分とから構成されています。

①は人事訴訟に関するもので、②は民事訴訟に関するものです。

①については、民訴法254条1項1号の適用はないと解するにしても、②については、同号の適用はあると解する見解も成り立たないわけではないとして、判決では、フォローされています。


しかし、人事訴訟法は、離婚請求と離婚を原因とする慰謝料請求とを同一の訴えですることができるほか、既に離婚請求が係属する家庭裁判所にも離婚を原因とする慰謝料請求を目的とする訴えを提起することができ、その場合には弁論が強制併合されると定める(17条)など、両者をできる限り同一の手続で審理・判断することが望ましいと考えて立法されていることや、本件執行抗告審決定も上記見解には立っておらず、控訴人も本件判決を①と②とに分けて考えてはいないことなどに照らせば、本件においては、①と②とを一体として審理判断せざるを得ず、②を含めて同号の適用の余地がないものとみるのが相当と結論づけています。

理論的には分けられるものの、一体化した問題であるといえます。

 

控訴されなかったら有効になる?

本件判決は、民訴法252条に従って判決書の原本に基づいて言い渡されるべきものであったところ、これに基づかないで言い渡されたものであるから、敗訴した被控訴人が控訴していれば、「判決の手続が法律に違反」しており取消しを免れなかった(民訴法306条)といわざるを得ないものでした。


しかし、本件判決は、被控訴人からの控訴がないまま控訴期間が経過したことから、形式的には確定したことになっています。

このように手続上違法であるが確定した外形を有する判決の効力をどのように解すべきであるかについても、判決では触れています。

この問題については議論があり得るところであり、本件判決についても上訴や再審等の手続で取り消されない限りは有効であると解することも考えられると指摘しています。


しかしながら、民訴法254条1項1号と人事訴訟との関係について前記のような見解を採る以上、離婚訴訟において同号に基づく調書判決をしたときは、その言渡しが違法であることが外形上明らかであるといわざるを得ないとも指摘。

そうすると、本件についても適法で有効な判決の言渡しがないことは外形上明らかであり、そのために、本件執行抗告審決定も、本件差押命令には有効な債務名義を欠いた瑕疵があったと判断したものと解されるとしています。

一方、当事者には本件判決の言渡しが違法であることが当然に明らかではなく、本件において、控訴人としては、本件判決において請求が全部認容されているから、上訴や再審の手続によって上記瑕疵を是正する機会は事実上なかったものであるし、本件判決が有効な債務名義ではないとされても、本件判決が無効であることの確認を求めることも許されないと解されること、本件判決の無効を前提として本件と同一の離婚等請求の訴えを再度提起することを求めるのも控訴人に酷であることからすれば、控訴人が、本件執行抗告審決定を受けてから、原審に対し、判決書の原本に基づいて改めて判決を言い渡すことを求めて判決言渡期日の指定の申立てをしたことはやむを得なかったものということができます。

また、控訴人は、戸籍上は離婚が成立したことになっており、本件判決によっては慰謝料請求権を実現すべき強制執行ができない状態に置かれているにすぎないともいえるが、そのような状態に置かれたのも、調書判決による判決が言い渡されたことに起因するのであって、上記強制執行ができるようにするためには、判決書の原本に基づく言渡しがされることが最も簡明な救済手段です。

これらのことに加えて、控訴人において本件判決が形式的にしろ確定したことを前提とせずに判決言渡期日の指定の申立てをしていること、本件判決に基づく戸籍上の記載を前提としてその余の法律関係が形成されたこともうかがわれず、被控訴人からも特段の異論が申し出られていないこと、控訴人の判決言渡期日の指定の申立てに対し原審が当初職権を発動しないものとするなどして速やかに応答していなかったことなどの事情も考慮すると、控訴人に今後更に本件執行抗告審決定との板挟み状態を強いたり、離婚の成否についての不安感が払拭されない状態を残したりするべきではないというべきであり、本件判決について手続が違法であるが形式的に確定しているとして有効であるとみるのは相当でなく、適法で有効な判決の言渡しをすべきものというべきとしています。

控訴人である妻に、これ以上の負担を強いるのはよくないという内容ですね。


離婚訴訟と弁論主義

離婚訴訟では、弁論主義が適用されません。

被告が第1回口頭弁論期日に欠席し、答弁書も提出しないと、民事訴訟では、自白したものとみなされ、原告の主張がとおります。

しかし、離婚訴訟では、離婚原因の存否について自白が成立せず、証拠調べが必要になります。

これに関し、離婚訴訟において、調書判決ができるのかどうかどうか争われたのが今回の問題です。

実務上は、否定する運用が多いのですが、文献等では明確に否定するものは少なく、ハッキリしていませんでした。

このようななかで本判決は否定する立場を取りました。

差し戻し後、第1審である千葉家庭裁判所は、更なる証拠調べをして、通常の判決をしました。

 

 

 

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