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FAQ(よくある質問)

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よくある質問

 

Q.一時的に宿泊があっても別居とされますか?

別居といえるかが争われたケースです。

不貞相手と同居するも、その後も妻の家に宿泊をしているような場合に、別居と評価するか争われ、判断もわかれた事例です。

大阪高等裁判所平成4年5月26日判決です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30

事案の概要

昭和17年に婚姻した夫婦。

原告は、昭和24年ころから自分の経営する店の従業員と不貞関係に。子も生まれ認知。

原告は、配偶者の居住する自宅と不貞相手の家とを行き来する生活を続けていました。夫婦間で不貞関係をめぐって争いが生じたものの、浮気は男の甲斐性であるとして関係を解消しませんでしたが、週末には自宅に帰ることを約束。

 

ところが、昭和40年に事業拡大のために上京。

その際、不貞相手とその子のみを同伴。以後は東京で不貞相手との生活になりました。

しかし、月に1、2回は大阪に来て、妻の居住する自宅に泊ったりもしていました。ただ、寝室は別であり、夫婦関係はなし。

このような生活が20年以上の間、続きました。

原告は離婚請求訴訟を提起。

離婚後の妻の生活の保証として1億5000万円の提供も申し出ていました。

 

原告は、有責配偶者であるものの婚姻関係破綻を主張。

昭和40年ころから夫婦関係は、共同生活の実体を欠いており、回復の見込みはなく、婚姻を継続し難い重大な事由があるとの主張。大阪に戻った際に、妻の自宅に宿泊していたが、それは、代表としての体面を維持するために同町の建物を自宅とする必要があったからに過ぎず、右建物に宿泊した際にも夫婦としての共同生活の実体は皆無であり、妻も共同生活を営む意志を全く喪失していたと主張しました。

 

一審の判断

一審では、別居状態の開始は、原告が離婚調停中に妻の自宅への出入りをやめた時点から始まったものと認定。

別居期間が長期に及んでいるとはいえないとしました。

有責配偶者である原告の離婚請求を排斥。

 

高等裁判所の判断

原判決を取消し、離婚請求を認容。

 

有責配偶者の離婚請求の許否について、最高裁昭和六二年九月二日大法廷判決は、有責配偶者からの離婚請求であっても、夫婦が相当の長期間別居し、その間に未成熟子がない場合には、相手方配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等の特段の事情のない限り、許されるとしています。

 

別居期間とは?

このうち、「長期間の別居」の要件については、よく質問される事項ですが、明確に何年で良いというような基準はありません。

高裁は、昭和39年までは、不貞関係を継続しながらも、約束に基づいて週末には必ず自宅に帰って生活しており、夫婦の共同生活の実体は保たれていたものと認定。

しかしながら、昭和40年に上京した際は、不貞相手らのみを同伴し、その後は一貫して同女らとともに東京を本拠として生活しており、昭和40年以降は、妻との共同生活の意思を完全に喪失していたものと認定しました。

もっとも、昭和40年以降も所用で大阪に来たときや正月には、妻の居住する建物に泊まり、その際には、妻が身の回りの世話をするなどしていました。この点については、活動のために地元に本拠を置いている体裁をとる必要があったことや、自宅建物が自分の家であるとの意識が強かったことによるものであり、妻に対する愛情や同人との婚姻生活継続の意思によるものではないと認定。

このことは、原告が離婚の意思を妻に対して明らかにし、大阪家庭裁判所に離婚を求める調停申立てを行った後も調停期日出頭その他の用事で大阪に来たときは従前同様に自宅建物に立ち寄り、宿泊していたことからも明らかであるとしました。

一方、妻においても、受動的に身の回りの世話をするのみにとどまり、原告に対して夫婦としての共同生活の回復を働きかけた形跡は全く窮われないことからすると、妻も夫婦として同居する生活を復活させることを断念し、婚姻共同生活を継続する意欲を失っていたものと推察されるとしました。


以上によれば、婚姻関係は、昭和40年以降夫婦としての共同生活の実体を欠き、その回復の見込みが全くない状態に至っていて、破綻状態にあるものと認められ、婚姻を継続し難い重大な事由が存するものというべきであるとしました。

 

別居期間が何年であるか、という形式的な話よりも、夫婦関係の実態がどうであったのかがポイントになります。


 

 

別居の該当性判断要素

高裁は、別居の意味について、有責配偶者からの離婚請求が信義誠実の原則に照らして許されるか否かを判断する際に考慮されるべき諸事情から解放し、離婚に同意しない相手方配偶者の意思に反して離婚請求を認容するための要件として「別居」が必要とされるのであるとしています。

したがって、右諸事情を考慮した結果、信義誠実の原則に反することがなければ、別居を問題とする必要はないし、相手方が離婚に応じる意思がある場合には、諸外国の立法例に準じ、より短い別居期間で足りると解すべきであるとしました。

また、別居に該当するかどうかは、当事者双方についての諸事情が変化し、これらのもつ社会的意味ないし評価も変化したと判断するに足りるかどうかによって判断すべきであるとしています。

 

 

有責配偶者の離婚請求の許否について

次に、有責配偶者の点が問題とされました。

婚姻関係破綻の原因は、原告の不貞関係にあり、破綻の責任はもっぱら原告にあると認定。

ところで、婚姻関係の破綻についてもっぱら責任のあるいわゆる有責配偶者から離婚請求がなされた場合には、有責配偶者の責任の態様・程度、相手方配偶者の婚姻継続の意思及び請求者に対する感情、離婚を認めた場合における相手方配偶者の精神的・社会的・経済的状態及び夫婦間の子、特に未成熟の子の監護・教育・福祉の状況、別居後に形成された重婚的内縁等の生活関係等の諸事情並びに時の経過がこれらの諸事情に与える影響を斟酌し、右請求が信義誠実の原則に照らして許されるものであるかどうかを判断すべきであるところ、夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、その間に未成熟の子が存在しない場合には、相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態に置かれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り、当該離婚請求は、信義誠実の原則に照らして許されないものではなく、これを認容すべきものと解するのが相当であると最高裁判決の基準を引用しています。


これを本件についてみると、前記認定の事実によれば、婚姻関係は、昭和40年以降、夫婦としての共同生活の実体を欠き、既に破綻しており、現行は、もっぱら東京を本拠として不貞相手との内縁関係を継続していたのであるから、昭和40年以降別居状態と評価すべきものであり、別居期間は、当審口頭弁論終結時において既に二六年余に達しており、両当事者の年齢(原告が八四歳、妻が七八歳)及び同居期間に比べて相当の長期間に及んでいるものというべきであると認定。

また、両当事者間の子は既に結婚して独立し、未成熟の子はいないと指摘。

そして、前示のとおり、妻も婚姻共同生活の継続の意思を失っていると認められること及び離婚後の妻の生活の保障について原告から相応の提案がなされており、従前の生活状況からみても、離婚によって妻の住宅や生活費に不自由をきたすことはないと考えられること等の事情に照らすと、原告の本件離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情は認められないというべきであるとしました。


したがって、本件離婚請求は、有責配偶者からの請求であるとの一事をもってこれを許されないとすることはできず、信義誠実の原則に照らして許されないものではないと解するのが相当であると結論づけました。

 

本件は、不貞相手との同居生活を開始した後も、妻との関係が完全には途絶えず、連絡、立ち寄りや宿泊があったようなケースで、別居期間をどう認定するか問題になるケースで参考になる裁判例といえます。

 

 

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