不貞慰謝料で探偵費用も認められた裁判例の解説。神奈川県厚木・横浜市の弁護士

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Q.不貞裁判で探偵費用の請求が認められた事例は?

不貞慰謝料の事件で、探偵費用の請求が認められたケースです。

すべての事件で認められるわけではありませんが、請求したい場合には、検討しておくべき判例でしょう。

東京地方裁判所平成28年2月16日判決です。  

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30

事案の概要

原告が妻。

夫と不貞関係に及んだ女性を被告として、不法行為に基づく損害賠償として、慰謝料500万円、調査費用37万2000円及び弁護士費用50万円の合計587万2000円を請求した事件です。

被告は不貞行為に至ったことは認めているものの、当時既に原告と夫との間の婚姻関係は破綻していたとして争いました。

 

原告は夫と平成14年2月17日に婚姻。夫婦との間には、同年に長女が、平成18年に長男が生まれています。

被告は、夫の中学校時代の二つ年上の先輩。夫が高校生の頃、2人は交際をしていました。

被告は平成22年7月に婚姻したものの、平成27年12月10日離婚。

原告は、平成25年4月26日以来、不貞関係があると主張。

被告は、平成25年7月29日に不貞行為に及んだことは認めるものの、当時すでに婚姻関係は破綻していたと主張しました。

 

裁判所が認定した不貞に至る経緯

婚姻関係破綻の主張がされているので、不貞の時期、不貞に至る経緯、当時の夫婦関係などが問題になります。

裁判所は、証拠から、以下のような事実を認定しています。

 

被告は、平成25年4月17日、夫に対しフェイスブックを通じてメッセージを送信し、連絡を取り合っていました。

同月26日、16年ぶりにバーで再会。

その後も2人は、週に一度程度食事をしながら近況を話し合ううち、同年7月12日には、翌朝まですごし、朝帰り。

夫は父親の相続により約5億円の相続財産を取得したこともあり、平成24年2月に会社を退職。平成25年3月にフランチャイズ制のリラクゼーションサロンのオーナーとなり、2店舗を経営。被告と再会した後の同年7月頃から、週末も経営する店舗に出勤するとして外出し、同年10月頃からは夕食も自宅でとらないことが多くなっていました。

 

朝帰り

 

妻が夫のカバンをのぞく

同年12月9日、夫の様子がおかしいと感じていた原告が、何気なく夫のカバンをのぞくと、被告名義の賃貸借契約書を発見。

夫は仕事部屋として借りたもので、被告の名義を借りたと述べました。

そのころから夫は原告に声を荒げるようになり、それまでは定期的にあった性交渉も平成26年3月まではなくなりました。

同年1月になると、夫は離婚を迫るようになり、同年2月、原告は夫の変化を不審に思い、素行調査を実施したところ、夫が被告と密会を重ねていたことが判明。

 

 

妻が不貞相手を訪問、夫が暴力

原告は、同年3月20日、被告に対し、夫との交際を絶つよう、直接要請するため、被告の自宅を訪れます。

被告は不在であり、被告の夫が対応。

その後被告から連絡を受けた夫が被告の自宅を訪れ、原告は自宅に戻ったが、その日の夜、夫は、原告に対し、原告の顔や体を爪でひっかき、髪の毛を掴んで左耳付近を殴打するなどの暴行を加え、原告は耳のピアス付近を殴打されたため、左耳後部から出血。

原告は顔面挫創、左耳後部挫創、胸部打撲皮下出血、左膝打撲皮下出血により全治約2週間の傷害を負いました。

同年4月20日には、夫が激昂して原告に金属製のワインオープナーを投げつけ、原告は左大腿部打撲皮下出血、左上腕打撲により全治約4週間の傷害を負っています。


同年3月下旬から同年8月上旬まで、原告と夫との間では再び性交渉が定期的に行われるようになったが、同年9月以降、性交渉はなくなりました

 

弁護士をつけて不貞慰謝料の請求

原告と夫との間の夫婦関係が悪化し、原告は、代理人弁護士を通じ、被告に対し、同年3月27日付の通知書を送付。

不貞関係の解消を求めるともに、慰謝料の支払を請求しました。

その後、被告も代理人弁護士を選任。

代理人間で面談及び書面による協議が行われました。

同年4月15日の代理人間協議において、被告の代理人から、現在被告は夫とほとんど連絡をとっていないとの説明がなされ、同年5月2日、被告の代理人より、不貞関係の解消、再会禁止の合意は了解可能であるとの回答がなされました。


その他の合意条件についての協議を進める中で、同年6月9日、原告の代理人から被告の代理人に対し、現時点で被告と夫は不貞関係を解消しているかにつき確認したところ、同月20日、被告の代理人から、不貞関係はすでに解消しているとの回答がされました。


ところが、実際には被告と夫は不貞関係を解消しておらず、同年7月1日に実施した夫と被告との話し合いにより、不貞関係を解消する合意に至ったということであったが、同年8月17日には、々と被告は商業施設内の店舗で会い、同年12月以降、被告と夫は、再び不貞関係を継続していました。

原告は、平成27年3月20日、本件訴訟を提起。


原告と夫は現在同居しているが、夫は原告に帰宅時間を連絡せず、朝帰りをすることも再び増えているという状態。

 

不貞行為と子供への影響

長男は平成25年12月ころから元気がなくなり、平成26年4月ころから不登校がちに。

児童相談所や子ども家庭支援センターの援助を受けつつ、メンタルクリニックに通院している状態。

また長男は平成26年12月から、長女は平成27年5月から、子ども家庭支援センターから紹介された区教育相談室において、月2回程度セラピーを受けている状態となりました。

 

婚姻関係は破綻していない

裁判所は、被告による婚姻関係破綻の主張を排斥しました。

被告は、不貞関係に至ったのは平成25年7月29日であるところ、当時、夫婦関係は破綻していたと主張。

他方原告は、不法行為の始期は同年4月26日であると主張。しかし、同日は被告と夫が再会した日であり、この日にただちに原告との間で不法行為を構成する行為が行われたことを認めるに足りる証拠はないとしています。

しかし、同年7月13日には「朝まで一緒にいられると思わなかったよ」、「ちゃんと愛の告白できてよかったでーす」、「わたしも彼女として公認されて良かったでーす。」とのラインのトーク履歴があることや、当時夫と被告が会っていた頻度に照らすと、夫と被告は、同月1日にはかつての交際相手という関係を超える親密な関係となり、原告との間で不法行為を構成する関係に至ったものと認められるとしました。


被告は、当時すでに婚姻関係が破綻していたと主張するが、原告と夫の間では当時性交渉も行われ、平成25年8月には家族旅行に行くなどしており、その他本件全証拠によるも、当時原告と夫の夫婦関係が破綻していたことを認めるに足りる証拠はないとして、その主張を否定しています。

家族旅行

 

不貞慰謝料の金額は150万円

被告の不貞行為の継続により、原告と夫との婚姻関係は相当程度悪化し、原告と夫の不和は未成熟子らにも深刻な影響を与えていると指摘。

被告は原告から不貞関係の解消を重ねて求められながら、不貞行為を継続しており、原告と夫の婚姻期間、婚姻の状況、不貞関係をもった期間、態様、本件訴訟に至る経緯その他本件訴訟に顕れた一切の事情を総合して考慮すると、慰謝料として150万円が相当であると認定しました。

 

不貞慰謝料と探偵費用も損害と認定


原告が平成25年12月に被告名義の賃貸借契約書を発見し、夫に被告との関係を問いただした際、夫は不貞関係を認めず、原告は平成26年2月、夫と被告との不貞関係について調査を行わざるを得なかったと指摘。

したがって調査費用相当額である37万2000円は被告の不法行為と相当因果関係があるものと認められるとしました。

探偵による調査費用が不貞慰謝料の裁判で損害として認められることは、そこまで多くはありません。

ただ、認められるケースでは、このように必要性を主張・立証しています。最低限、このような訴訟活動は必要だといえるでしょう。

 

不貞慰謝料と弁護士費用も損害と認定


本件事案の内容に照らせば、本件不法行為と相当因果関係のある損害として18万円を相当と認めるとしています。

慰謝料と探偵費用の合算額の約1割というところです。

 

 

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