財産分与とあわせて不動産の明渡請求を認めた裁判例の解説。神奈川県厚木・横浜市の弁護士

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よくある質問

 

Q.財産分与とあわせて不動産の明渡請求はできる?

夫婦間での明渡請求もできるという判断がされました。

最高裁判所第令和2年8月6日決定。

財産分与と明渡に関する判断です。

自宅不動産の財産分与と、妻が居住し続けている場合の対応として、離婚事件では、よく見かける場面の話です。

 

事案の概要

夫が、離婚した妻に対し、財産分与の審判を申し立てた事案。

2人の間には、財産分与の対象財産として、 夫名義の建物がありました。

建物は妻が単独で占有していました。

建物明け渡し

1審の家庭裁判所は、本件建物等を妻に分与しないものと判断。

そのうえで、夫に対し、給付命令として、清算金209万余円を支払うよう命じ、妻に対し、3か月の猶予期間を設けた上で、本件建物を夫に明け渡すよう命じました。

家事事件手続法154条2項では、家庭裁判所は、審判において、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができるとしています。これを給付命令といいます。

この審判には、財産分与も含まれます。

ここで、財産分与の審判で、財産分与で名義が変更されないのに、明渡を命じることができるかどうかが問題となりました。

 

高等裁判所は明渡を否定

高等裁判所は、各財産の帰属や、夫への清算金の支払を命じた点は家庭裁判所と同じ判断をしました。

しかし、本件建物の明渡しの給付命令については、夫名義の本件建物を妻に分与しないものと判断がされた場合、名義人の夫から妻に対する明渡請求は、所有権に基づく請求として、別に民事訴訟の手続において審理判断されるべきものであり、家事審判の手続において命ずることはできないとしました。

本件建物には妻が居住していて、夫は、妻に対し、本件建物の明け渡しを求めるところ、本件不動産は夫の名義で、夫に分与される財産であること、その場合、自己の所有建物について、占有者に対して明渡しを求める請求は民事訴訟ですべきものであって、これを家事審判手続で行うことはできないといわざるを得ないとの理由です。

そこで、夫が抗告許可を申し立て、原審がこれを許可。

事件は最高裁に移ります。

 

最高裁判所の判断

原決定を破棄。
東京高等裁判所に差し戻すというものでした。

高等裁判所の判断は違う、家庭裁判所の判断が正しく、明渡を命じることもできるという内容です。

 

財産分与の給付命令制度の趣旨は実効性

財産分与の審判において、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定めることとされています(民法768条3項)。

もっとも、財産分与の審判がこれらの事項を定めるものにとどまるとすると、当事者は、財産分与の審判の内容に沿った権利関係を実現するため、審判後に改めて給付を求める訴えを提起する等の手続をとらなければならないこととなります。


そこで、家事事件手続法154条2項4号は、このような迂遠な手続を避け、財産分与の審判を実効的なものとする趣旨から、家庭裁判所は、財産分与の審判において、当事者に対し、上記権利関係を実現するために必要な給付を命ずることができることとしたものと解されるとしています。

財産分与

 

財産分与実現のために明渡を命じることができる

同号は、財産分与の審判の内容と当該審判において命ずることができる給付との関係について特段の限定をしていないところ、家庭裁判所は、財産分与の審判において、当事者双方がその協力によって得た一方当事者の所有名義の財産につき、他方当事者に分与する場合はもとより、分与しないものと判断した場合であっても、その判断に沿った権利関係を実現するため、必要な給付を命ずることができると解することが上記の趣旨にかなうというべきであると指摘。


そうすると、家庭裁判所は、財産分与の審判において、当事者双方がその協力によって得た一方当事者の所有名義の不動産であって他方当事者が占有するものにつき、当該他方当事者に分与しないものと判断した場合、その判断に沿った権利関係を実現するため必要と認めるときは、家事事件手続法154条2項4号に基づき、当該他方当事者に対し、当該一方当事者にこれを明け渡すよう命ずることができると解するのが相当であるとしました。

 

以上と異なる原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原決定は破棄を免れないとしました。

 

財産分与で名義が変わらなくても給付命令

財産分与の判断がされたのに、それを実現するために、民事訴訟で明渡請求をしろというのは、手続として迂遠ですね。

せっかく、財産分与の実効性を高める給付の付随処分が認められている以上、これを活用したほうが合理的です。

 

今回のように、形式的な名義が変更されてない財産分与の場合に、これに伴う給付命令ができるかという論点は、財産分与の法的性質の考え方によって変わってくるとされます。

財産分与の名義を重視する考え方では、一方の名義で取得された財産は当初から名義人の完全な所有物と捉え、名義人がそのまま財産を取得する場合、権利変動を観念しないことになります。

分与というものではなく、そのまま、という発想です。

高裁が明渡を否定したのは、このような前提だったかもしれません。

 

これに対し、最高裁は、名義に関わらず、財産分与制度の趣旨から、家庭裁判所が明渡を命じることができると判断しました。

特に、財産分与の審判の内容と当該審判において命ずることができる給付との関係について特段の限定をしていないと指摘しており、給付命令は財産分与での権利変動に限定されるわけではないこととなりそうです。

とはいえ、財産分与と関係がない特有財産の話などでは使えないと思われます。

 

財産分与審判で一気に問題解決をしたい人は、チェックしておきましょう。

 

 

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