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よくある質問

 

Q.婚姻費用と潜在的稼働力とは?

婚姻費用や養育費を決める際に、潜在的稼働力という言葉が使われることがあります。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30


婚姻費用と潜在的稼働力についての裁判例を紹介してみます。
東京高裁平成30年4月20日の決定です。

婚姻費用と収入

婚姻費用が争われた事案です。
婚姻費用とは結婚している夫婦でそれぞれが生活費の負担を求めるものです。
収入が多い方が、少ない方に支払わなければならず、別居している夫婦などで発生します。

その際に、この婚姻費用の金額をどのように決めるのかというと、一般的には、双方の収入から決めます。


調停等では、婚姻費用算定表があり、これに基づき決められることがほとんどです。


この婚姻費用算定表は、お互いの収入からどれぐらいの金額が妥当であるかという視点で作られたものです。

この算定表を使用する際、配偶者の片方の収入がない場合は、収入があるよりも婚姻費用は高くなります。
自分の収入で補える部分がゼロなので、配偶者に払ってもらわなければならなくなります。

潜在的稼働力の考え

このような決め方をしていると、なかには、婚姻費用を下げるために、働かない人も出てきます。
収入がなければ、配偶者の生活など補えるはずがありません。婚姻費用もゼロになるのが原則です。

ただ、意図的に収入を下げるような行為はずるいだろうとされます。
そこで、潜在的稼働力という概念が生み出されました。


実際に収入がなくても、働けるはずだろう、収入をもらえるはずだろうという概念で、おそらく得られたであろう収入で婚姻費用を決めてしまう概念です。


婚姻費用の争いになったときに仕事を辞めてしまって意図的に収入がなくなったようなケースで認定されることがあります。
平均値や過去の収入実績から収入認定されるものです。

裁判所の決定

今回の決定では、妻が子育てのために仕事をしていなかったところ、夫側から潜在的稼働力があるのだから、収入を一定額認定すべきだと主張されました。
しかし、裁判所は、これを否定しました。
子供が5歳と3歳と幼少であることから、まだ稼働できないだろうという判断です。

「原審申立人については,現在無職であり,収入はない。
原審申立人は,歯科衛生士の資格を有しており,10年以上にわたって歯科医院での勤務経験があるものの,本決定日において,長男は満5歳であるものの,長女は3歳に達したばかりの幼少であり,幼稚園にも保育園にも入園しておらず,その予定もないことからすると,婚姻費用の算定に当たり,原審申立人の潜在的な稼働能力をもとに,その収入を認定するのは相当とはいえない。」


ただ、付言にて、以下の記載があります。

「なお,本決定で原審相手方に支払を命じる婚姻費用は,長女が幼少であり,原審申立人が稼働できない状態にあることを前提とするものであるから,将来,長女が幼稚園等に通園を始めるなどして,原審申立人が稼働することができるようになった場合には,その時点において,婚姻費用の減額を必要とする事情が生じたものとして,婚姻費用の額が見直されるべきものであることを付言する。」

 

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